体育館に足を踏み入れると、木の香りとともに響くボールの音、体育シューズの擦れる音。
どこか懐かしいその空間は、スポーツを楽しむ場所であり、地域の人々が集う場所でもあります。
しかし一方で、体育館は“みんなで共有する公共施設”。
たった一人の小さな不注意が、床を傷つけたり、照明を壊したり、他の利用者の安全を脅かすこともあります。
この記事では、「体育館を使うときに何に気をつければいいの?」という疑問に答えるべく、安全で快適に利用するための注意点をわかりやすく解説します。
基本マナーから、備品の扱い方、災害時の注意点、そして意外と知られていない「ワックスがけ禁止」の理由まで。
学校や地域の体育館を、これからも長く使い続けるためのポイントを紹介します。
体育館を使う前に知っておきたい基本ルール
体育館を利用する際に最も大切なのは、「自分だけでなく、みんなが気持ちよく使えるようにする」という意識です。
まずは、守るべき基本マナーから確認していきましょう。
① 土足厳禁はなぜ?
体育館では、必ず上履きや体育館シューズに履き替える必要があります。
理由は単純で、外履きのまま入ると床を傷つけるからです。
体育館の床は木製で非常にデリケート。砂や小石が付着した靴で歩くと細かい傷がつき、塗膜が削れて滑りやすくなります。
見た目の劣化だけでなく、修繕にも費用がかかるため、土足禁止は「安全」と「維持管理」両面から欠かせないルールです。
※屋外用スニーカーも底に汚れが残りやすいので、体育館専用シューズを用意しておくのが理想です。
② アリーナ内での飲食禁止
体育館内では、原則として飲食は禁止されています。
ジュースや食べ物をこぼすと、木材の隙間に糖分や水分が入り込み、黒ずみや腐食の原因に。さらに、食べカスや匂いは虫の発生源にもなります。
ただし、水分補給は例外です。
熱中症対策のため、蓋つきのペットボトル飲料は持ち込み可の施設がほとんどです。
「こぼさない」「床に直接置かない」など、ちょっとした配慮を忘れずに。
③ ゴミは持ち帰るのが基本
多くの体育館ではゴミ箱を設置していません。
そのため、ゴミは各自で持ち帰るのが基本ルールです。
紙くずひとつでも放置すれば、次の利用者の印象を悪くします。
特にイベントや試合の後は、「来たときよりもきれいに」を意識して退出しましょう。
④ 火気・喫煙の禁止
体育館は防災上の観点から火気厳禁・禁煙です。
木製の床や壁は可燃性が高く、わずかな火でも事故につながります。
電子タバコも“火気扱い”とされる場合があるため、必ず指定喫煙所を利用しましょう。
⑤ 貴重品は自己管理が原則
体育館は多くの人が出入りする場所です。
財布やスマートフォンなどの貴重品はロッカー保管か常時携帯が基本。
更衣室やステージ裏の放置はトラブルの元になります。
許可なく行ってはいけない行為
- 壁やガラスにポスターやテープを貼る
- 電源コンセントを無断で使用する
- 販売・勧誘・撮影など営利目的で使用する
これらは施設や設備を傷めたり、他の利用者の迷惑となったりする行為です。
掲示物を貼るときは必ず管理者に相談を。
特にコンセントの無断使用は火災の危険があるため絶対にNGです。
体育館使用上の注意|安全・快適に使うために
① 利用時間を守る
体育館は時間単位で予約されています。
準備・片付けを含めて利用時間を厳守することで、次の利用者とのトラブルを防げます。
「次の団体が待っている」という意識が大切です。
② 備品を大切に扱う
バスケットゴール、ネット支柱、マット、肋木(ろくぼく)など、すべて共有物です。
「少しくらいなら」と乱暴に扱うと破損や怪我につながります。
特に支柱の固定ミスやネットの引っ掛かりには十分注意しましょう。
③ 破損したら必ず報告
器具や床を破損してしまったら、そのまま放置せず管理者に報告を。
報告が遅れると、次の利用者が怪我をする危険があります。
「隠すより報告」――これが安全管理の基本です。
④ 清掃は乾拭きが原則
利用後はモップや乾いた布で床を清掃します。
体育館の床は湿気に弱く、水拭きはNG。
砂や汗をそのままにしておくと、塗膜の劣化が早まります。
⑤ ワックスがけは禁止されている理由
文部科学省の通達(2017年)により、体育館へのワックスがけは禁止されています。
理由は以下の通りです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 床材の劣化 | ワックスの水分や薬剤が木材を痛め、反りや膨張を起こす。 |
| 滑りやすくなる | 塗膜が摩擦性能を失い、転倒事故の原因に。 |
| 汚れの固定化 | ワックスが汚れを閉じ込め、黒ずみやムラを生じる。 |
体育館の床はスポーツ専用ウレタン塗装で仕上げられており、光沢と防滑性を兼ね備えています。
見た目をきれいにしようとワックスを塗るのは逆効果。乾拭きと専用クリーナーだけで十分です。
安全に使うために知っておきたいこと
① 避難経路の確認
利用前に非常口の位置や避難経路を必ず確認しておきましょう。
災害時の誘導がスムーズかどうかで安全性が大きく変わります。
② 子ども連れの場合
小さな子どもは走り回ったり、器具に触れたりしがちです。
目を離さず、危険な場所には近づけないように注意しましょう。
③ 体調管理と準備運動
ケガ防止のため、運動前後のストレッチは必須。
体調がすぐれない日は無理をせず、事故防止を最優先に。
④ 係員の指示に従う
公共施設では、管理者や係員の指示に従うことがルールです。
使用基準や安全指示を守ることで、トラブルを未然に防げます。
体育館は“みんなの財産”。だからこそ丁寧に使おう
体育館は、スポーツの場であり、地域の憩いの場であり、時には避難所にもなる大切な場所です。
その一つひとつのルールには、「安全」と「思いやり」が込められています。
土足禁止、飲食禁止、ワックス禁止。一見厳しいようでいて、すべては次に使う人と未来の子どもたちのため。
もしあなたが体育館の利用者や管理者であるなら、ぜひ一度、床や備品を見回してみてください。
その“ひと手間”が、長く安全に使える体育館を守る第一歩になります。
私たちの使命は、その思いやりの連鎖を「形」として支えること。
体育館を守り、次の世代へつなぐために――正しい使い方とメンテナンスをこれからも発信していきましょう。



















