体育館で使われるバレー支柱、バドミントンネット、卓球台の固定金具。
それらを床下でしっかり支えているのが「埋設金具」です。
普段は目に見えませんが、実は体育館の安全性を根底から支える、最も重要な構造部品のひとつです。
しかし、長年の使用で金具がガタついたり、支柱を差し込むと揺れたり、最悪の場合には金具が床ごと抜け上がることもあります。
これは、床下の基礎や埋設管の劣化が進んでいるサインです。放置すれば競技中の転倒事故や床破損を招く恐れがあります。
この記事では、体育館の床金具埋設施工(交換・新設)について、施工方法や工程、注意点までを現場目線で詳しく解説します。
「自分の体育館ではどんな工事が必要なのか」「どのくらい費用や期間がかかるのか」。そんな疑問を解消する実践ガイドです。
床金具埋設施工とは?
体育館を支える“見えない基礎工事”
床金具埋設施工とは、支柱やネットポールを固定するための金属製埋設管を、床下のコンクリート基礎に精密に固定する工事です。
この管は単なる筒ではなく、競技中に加わる衝撃を基礎全体へ分散させる構造体としての役割を持っています。
たとえば、バレーボール支柱にはサーブやスパイク時に数百kg単位の横方向の力がかかります。
床下の金具がしっかり埋設されていなければ、支柱が傾き、床材が浮き上がることも。
つまり、金具の施工精度=体育館の安全性そのものと言えます。
新設時の床金具埋設施工方法
新築体育館の建設時は、床を張る前にコンクリート基礎内に埋設管を施工します。
位置と水平精度がミリ単位で求められる、高度な基礎工事です。
① コンクリート基礎の設置
床下に「基礎桝(まます)」と呼ばれるコンクリート箱を設け、金具を安定的に固定できるスペースをつくります。
支柱位置は設計図・コートラインに基づき、ミリ単位での位置出しを行います。
ここでズレると、完成後に支柱やネット位置が規格外になるため慎重な作業が必要です。
② 生コンクリートの打設と埋設管の固定
基礎桝にコンクリートを流し込み、指定された位置に金属製の埋設管を固定します。
支柱の種類(バレー、バドミントン、卓球)によって形状や深さが異なるため、メーカー仕様に合わせて選定します。
水平器で確認しながら傾きが出ないように慎重に固定します。
③ 養生(硬化期間)
コンクリートを打設したら、十分に硬化するまで数日〜1週間の養生期間を取ります。
早期に荷重をかけると沈みや緩みの原因となるため、焦らず硬化を待ちます。
既存体育館の埋設管交換施工方法
既存体育館の金具交換は、床を一部解体して行う高難度の施工です。
古い床構造を壊さずに新しい埋設管を設置するには、熟練した職人技が必要です。
① 既存床の撤去
ウレタン塗装仕上げの床を傷つけないように、対象部分を慎重に解体します。
破損を最小限に抑えるため、専用カッターで塗膜を切り分けながら作業します。
② 古い金具の撤去
床下から古い埋設管を取り外します。
内部にはサビや埃、モルタル片が溜まっていることが多く、撤去後は清掃を行います。
管が腐食している場合は再利用せず、新しい部材を設置します。
③ コンクリート基礎の確認・補修
基礎のひび割れや空洞をチェックし、必要に応じて樹脂モルタルで補修。
この工程を省略すると、再施工後に再び緩みが発生する恐れがあります。
④ 新しい埋設管の設置
新しいモルタルを流し込み、専用治具を使用して新規埋設管を垂直・水平に固定します。
支柱が正しく差し込めるよう、数ミリ単位の高さ調整を行います。
⑤ 床の復旧と仕上げ
モルタル硬化後、床材を復旧し、必要に応じて再塗装・ライン引きを実施します。
見た目は施工前と変わりませんが、床下では新品の構造体に生まれ変わっています。
施工で重要な注意点とチェック項目
- 専門知識・施工実績のある業者に依頼
床金具は構造体の一部。DIYや未経験業者の施工では強度不足のリスクがあります。 - 位置精度の確認
支柱位置は競技規格に基づき、ミリ単位のズレも許されません。 - 基礎コンクリートの強度確保
支柱荷重を受けるため、圧縮強度24N/mm²以上の生コンを使用するのが基本です。
床金具の異常を感じたら早めの点検を
支柱が傾く・揺れる・差し込みが緩い。これらは埋設管や基礎劣化のサインです。
放置すると床材の浮きや沈み、支柱の破損、転倒事故につながる可能性があります。
早期点検・早期補修であれば、部分施工で済み、費用も抑えられます。
年1回の定期点検と、異常時の即相談を心がけましょう。
見えない床下こそ、安全を左右する重要部分
体育館の床金具埋設施工は、単なるリフォームではなく構造補強工事です。
施工品質が安全性と競技性を左右します。
- 現地調査で基礎・金具状態を正確に把握する
- メーカー仕様と位置精度を厳守する
- 実績ある体育館専門業者に依頼する
床下に隠れた小さな金具。
そこには、体育館の未来を支える職人の精密な技術が息づいています。
「見えない部分」こそ、長く安全に使うための最大の投資です。



















