今、注目される体育館床メンテナンスの在り方

今、注目される体育館床メンテナンスの在り方

こんにちは、株式会社霜鳥です。
体育館フローリングのささくれ事故から、体育館床メンテナンスについて注目が集まっています。
今、体育館の床に何をすべきなのか、どのようなメンテナンスを行っていくべきなのかが問われています。
本ページでは、

☑ 消費者庁の見解 ”消費者庁の公表を簡易的にまとめました”
☑ なぜ、清掃の際に水の利用を避けた方が良いのか ”無垢材の特性から解説します”
☑ なぜ、ワックスが体育館の床に適さないのか ”ワックスの使用説明書から解説します”
☑ なぜ、ささくれが起きてしまったのか ”無垢材の特性から解説します”
☑ 不具合事例とメンテナンス事例 ”事例を交えて解説します”
☑ スポーツフロア専門業者がおススメするメンテナンス ”ライフサイクルコストの平準化及び長寿命化に繋がるものだと思います”

1級フローリング技能士・体育施設管理士・木製床管理士の視点から解説していきたいと思います。
合わせて、体育館床のささくれ事故について・体育館床の不具合事例・体育館床メンテナンスの事例をお伝えします。

メンテナンスをお考えの方のお役に立てれば幸いです。

これは、私たちがささくれ事故以降、メンテナンスの重要性及び適切なメンテナンスをお伝えしていくため雑誌に掲載した4コマ漫画です。
体育館の安全・安心に寄与していくことができればと思っています。

2014年8月、体育施設に掲載
2015年6月、地方紙に掲載

実際に起こった体育館床での事故事例

体育館床事故事例/相模原

女子生徒の胸に体育館床板刺さる 市立中、昨夏にも同様事故/相模原
相模原市教育委員会は5日、同市南区内の市立中学校の体育館でバレーボールの練習をしていた同校1年の女子生徒(12)が、胸に床板の一部が刺さるけがを負ったと発表した。
この体育館では昨夏にも同様の事故が起きていた。 市教委によると、4日午後3時ごろ、地域のチームに所属する生徒がレシーブの練習中、床に飛び込んだ際に床板の木片(長さ約5センチ、幅約3ミリ、厚さ約1ミリ)が右胸部に刺さった。病院で木片を取り除き、現在は快方に向かっているという。練習前には床板の剥がれに気づかなかった。
体育館は2002年に改築。
昨年7月には、同校バレーボール部の女子生徒(12)が同じように左胸に床板が刺さり、手術で摘出するけがを負って8日間入院し、現在も通院している。
市教委は前回の事故後、全市立小中学校に安全管理の徹底を通知したほか、床の老朽化した部分は張り替える措置を実施。
この体育館も床の一部を張り替え、床材がはがれかけている場所を粘着テープなどで補修。利用者が使用前にモップがけなどをして点検していたという。
そういった日常的な点検のほかに学期の前後には全教職員によって目視点検を行っていた。
3月23日に点検した際、異常は見つからなかったという。
市教委は「けがをされた生徒には大変申し訳ない。同様の事故が起き残念。原因を調査し、再発防止に努めたい」とコメントした。
市立小中学校の屋内運動場の総点検を再度行うなど対応を図るという。
市教委は、一般開放を含め同体育館の利用を続けるとしているが、学校名は公表しないとしている。

なぜ事故は起こってしまったのか!?

 

原因と真逆を行く体育館床のメンテナンスの現状

体育館床へのメンテナンスとして、行われている方法にワックスによるメンテナンスがあげられます。
しかし、ワックスによるメンテナンスは、体育館の床には不向きです。
体育館の床は非常に使用頻度が高い厳しい環境にさらされているため、保護層の摩耗が激しくワックスメンテナンスでは、短期間により表面保護の効果がなくなります。
またワックスの摩耗、劣化により滑りやすくなります。
滑りやすくなるという欠点を補うため、ワックスを定期的に塗り重ねる、施設さまが多く見受けられます。
実際に、ワックスメンテンスによってフロアコンディションを悪くしてしまっているケースがあります。
また、ワックスは塗り替えの際、はく離を行う必要があるため水分を使います。
この水分がフローリングに悪影響を及ぼします。

☑ ワックスが摩耗することで滑りやすくなる
☑ 塗り替えの際、はく離を行う(水分を使う)

ワックスの使用方法について(使用説明書より解説)

本来、ワックスメンテナンスは使用説明書にも書いてあるように、ワックス塗布を行う際に正しい洗浄・剥離が必要で・汗や汚れ、ホコリ、ごみなどを取り除いたうえで塗布します
塗り重ねる場合にも中性クリーナを用いて適切な洗浄が必要です。
これがワックスの正しい使用方法です。

◆使用方法

① 原液使用
② 使用量の目安:1㎡回塗布あたり12ml(18lで約1500㎡の1回塗布が可能)
③ 作業手順

A.初めて使用する場合
1. 剥離希釈液を用いて古い被膜を完全にはく離し、汚水除去・すすぎ・水拭き等の処理をした後、床面を完全に乾燥させます。
2. 本品を専用のモップまたはその他の塗布器具に充分含ませて、均一に塗り残しのないように塗布します。
3. 完全に乾燥させてから塗り重ねます。
4. 塗布作業完了後、床が充分乾き上がるまでは通行しないでください。

B.日常清掃
1. ダストキーパーで処理されたダストモップで砂やホコリを取り除きます。
2. 汚れに応じて固絞りの水モップ拭きや中性クリーナ100倍希釈液を入れた自動床洗浄機を用いて、汚れを取り除いてください。

C.再塗布
本品被膜の痛みや汚れが目立つようになったら、中性クリーナー40~60倍希釈液で表面を洗浄した後、本品を1~2階塗布して仕上げます。

D.はく離作業
1. 床表面の埃やゴミをドライバキュームかダスティングにより除去します。
2. ニュートラ・ストリッパー5倍希釈液を作り、床面に塗布します。その際、床材への悪影響を避けるために大量に塗布しないでください。
3.  赤パッド装着のポリッシャーにて洗浄します。
4. すぐにウエットバキュームもしくはフロアースクイジーにて汚水を回収します。
5. 固絞りのモップで2回程度拭き上げます。
6. 床面を充分に乾燥させ、初回ワックス塗布作業を行います。

長くなってしまいましたが、再塗布についても、はく離にしても水分を多量に使用する必要があることを解説するために掲載しました。
尚、水分を必要とする施工箇所については青色にしました。

ワックス塗り重ねに見られる症状

ワックスを洗浄せずに、ただ塗り重ねを行うのであれば既存のワックス部分に付着した汗やホコリ、ごみ等を巻き込み、黒ずむと共に、汚れが深くまで蓄積されていくことになります。
フロア全体も暗くなっていきます。衛生的にも良い環境とは言えません。
耐水性・耐薬品性・耐摩耗性・密着性・コインスクラッチ性・防汚効果・表面保護・スポーツに適したすべり係数など遥かにウレタン塗装より劣ります。
しかし塗り重ねることで表面の保護という目的には効果を発揮します。
短期間でできることや施設様自身での塗布も可能なことで手軽なメンテナンスとして定着しているようです。(適切なメンテナンスとは言えません)
ワックスの塗り重ねが行われていた施設様にウレタンメンテナンスを導入した場合、ワックス剥離により黒ずみが取り除かれて明るくきれいになります。

ワックス塗り重ねた部分と除去した部分ではどれほど違うのか!?

ワックス塗り重ねメンテナンスを続けて4年ほど立った状態です。
写真のように全体的に黒ずんできていると、フローリングの汚れや劣化だと勘違いしてしまいます。
始めからこのような色合いだったと認識してしまう場合もあるかもしれません。
実際に、ワックスを塗り重ねを行うことで塗り重ね前と比べ、光沢が復元しきれいに見えます。
これらのことで、メンテナンスが適切であるか気づかない状況に陥ります。

ワックスは適切な使用と適材適所で生きる

ワックスも悪いものではありません。適材適所の利用で生かされるのです。
ワックスの多くはバフィング(高速で床表面を柔らかいパット等で磨く作業)する事によって光沢が蘇えるという特徴を持ちます。
また、バフィングは作業性が良く、専用機械を取り扱うために高いスキルを必要としません。
そのため、流動が多いところ、キレイを常に保ちたいところに重宝されている作業です。

例えば、コンビニや食品売り場のような場所なんかだと分かりやすいですか?
日頃から人の出入りが激しいのですが、清掃やメンテナンスが欠かせません。
それどころか、光沢を保ってキレイに維持していく必要があります。(もちろん体育館も同じですが)
その目的を果たすため、ワックス塗布+バフィングが採用される傾向にあります。

このバフィング、皆さんもご覧になったことがあると思います。
よくコンビニ、百貨店でスタッフの方や清掃の方が機械で作業されています。

ウレタンに対するバフィングの効果はワックスに比べると劣ります。
以前、実験をした際にはウレタンには効果はありませんでした(個人的見解)
しかしながら、ウレタンはスポーツ競技に適したグリップがあるうえに、フロアーを保護する性能が高いです。
どんな建材も同じですが、塗料やワックスの特徴及び性能もまた、適材適所で生かされるのです!!

”弊社サイト、コートラインプロブログより抜粋!

 

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