寒い冬の体育館で練習をしていると、気づかないうちに足元がツルッと滑る。
転びそうになったり、実際にケガをしたりした経験がある方も多いのではないでしょうか。
「ワックスのせいかな?」「湿気がないのに、なぜ?」。
そう不思議に思う方も多いですが、実は冬特有の環境が、床の“滑りやすさ”を引き起こしているのです。
特に体育館は、屋外の冷気や乾燥の影響を受けやすく、さらに多くの人が出入りする場所。
使い方やメンテナンスのわずかな違いが、滑りやすさを大きく左右します。
この記事では、「なぜ冬に体育館の床が滑るのか」「どうすれば防げるのか」を、現場目線でわかりやすく解説します。
冬に体育館の床が滑る3つの主な原因
① 床面の劣化によるグリップ力の低下
体育館の床は日々、シューズとの摩擦で少しずつ磨耗しています。
その結果、表面のウレタン塗膜が削れて摩擦係数(グリップ力)が低下します。
ツヤがあるのに滑る――そんなときは、塗膜の光沢が「磨かれすぎた状態」になっている可能性があります。
さらに冬場は乾燥によって木材が収縮し、表面が硬化して摩擦を生みにくくなるのです。
目安:新築から5年以上経過、または塗膜メンテナンスを長期間行っていない場合は、床の劣化が滑りの原因かもしれません。
② ほこり・砂・汗による汚れの蓄積
冬は靴底に砂やほこりが付きやすく、それが床面に持ち込まれます。
一見きれいでも、光の角度で白く曇って見える部分があるなら、それは滑りやすくなっているサイン。
また、暖房を使う冬は汗が乾きにくく、乾いた後に残る塩分や皮脂がホコリと混ざって「滑る膜」を作ります。
この皮膜がワックス層の上に重なると、摩擦が極端に下がります。
③ 冷気による床材・靴底の硬化
朝方や夜間、体育館の床温度は10℃以下まで下がることがあります。
木材は冷えると収縮し、表面が硬くなるため、摩擦が生まれにくくなります。
さらに、靴底のゴムも冷えると柔軟性を失い、床との密着が弱まります。
つまり、床も靴も“硬く冷たい”状態になることで、グリップが低下するのです。
特に注意:冷暖房のない体育館や、暖房を切った夜間練習ではこの現象が顕著です。
冬の体育館で滑りを防ぐための具体的な対策
① 日常清掃を徹底する
冬場の滑り対策の基本はホコリをためないこと。
使用前後に乾いたモップや静電クロスで床を拭くだけでも滑りは大幅に軽減されます。
入り口や観覧席周辺は砂が溜まりやすいので重点的に。
汚れがひどい場合は中性洗剤を薄めて軽く拭き、その後しっかり乾拭きしましょう。
水分を残すと逆効果になるため、扇風機などで完全に乾かすのがポイントです。
② 専用の滑り止め剤・コンディショナーを使う
体育館用の滑り止めコンディショナーを定期的に使用することで、摩擦力を回復させられます。
ワックスとは異なり、表面に膜を作らず、滑りを防ぐ薬剤です。
| 種類 | 効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| 滑り止めコンディショナー | ホコリや皮脂を分解し摩擦を回復 | 均一に塗布し乾燥させる |
| ノンワックス床用剤 | 塗膜を作らずグリップ力向上 | 床材との相性を確認 |
| 滑り止めスプレー | 一時的な改善に有効 | 頻繁な使用は床を傷める恐れ |
おすすめ:冬季だけでなく、年間メンテナンスの一環として取り入れると滑りの発生を防げます。
③ 室温と湿度を整える
体育館の理想的な環境は「温度13〜24℃・湿度35〜50%」。
この範囲を維持することで、木材の収縮を防ぎ、安定したグリップを保てます。
冷えすぎた床を急激に温めると、膨張による歪みが発生することもあるため、
暖房は練習開始の30分前からゆるやかに稼働させましょう。
④ 靴底の汚れ・劣化をチェック
靴底のゴムが硬化していると、床にしっかり密着せず滑ります。
使用前に湿らせたタオルで靴底を拭き、ホコリを取るだけでも摩擦が改善されます。
また、体育館入口に粘着マットを設置すれば、外部からの砂やホコリをブロック可能。
3年以上使用している靴はゴムの硬化が進んでいるため、買い替えを検討しましょう。
⑤ 定期的な再塗装・メンテナンスを依頼
塗膜が劣化している場合は、専門業者による再塗装(サンディング+ウレタン塗装)が必要です。
定期的な塗り替えにより、摩擦性・耐久性・美観を同時に回復できます。
目安:5〜7年に一度の再塗装が理想。
床下の湿気が原因の場合は、防湿処理や換気改善も合わせて検討を。
冬の体育館で「滑らない環境」を維持するために
滑りやすい床は、選手の集中力を奪い、事故を招く要因になります。
しかし、その多くは床そのものの問題ではなく、汚れ・乾燥・温度・靴底といった身近な要素が重なった結果です。
だからこそ、毎日の清掃・空調管理・メンテナンスを欠かさず行うことが大切。
「冬は滑るから仕方ない」と諦めず、環境を整える意識が安全を守ります。
体育館の床は、選手のパフォーマンスを支える“舞台”。
日々の手入れと定期的な点検で、冬でも安心して使える環境を保ちましょう。


















